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きみはペット(前編)




忘れていた…という訳ではない。
ただ、そういったことを重要な物事として捉えきれないだけである。
それは誰もが分かっているはずだった。

しかし、分かっていることと寛容出来る事、それが常にイコールで結び付くかといえばそうではないわけで。
彼がその日を普段と変わりなく過ごしたとして、果たして誰が彼を責められようものか?
そう問うのなら、誰もが彼女の名を挙げるだろう。


――今日一日、あたしの言うことに逆らわないこと。


激怒した彼女が突き付けた仲直りの条件は、彼が軽く眩暈を起こすほどに難解なものであった。

そう、彼にとっては。





きみはペット





「ナル。洗濯機止まったよ」

「ナル!それお風呂用のマジックリン」

「ナル、特売日だったの!早く行かなきゃなくなっちゃう!!」

「なーるー!寝ちゃダメだってば。シーツ替えたら布団取り込むんだから」

「ナル? あたしはあんたと違ってきちんと三食食べるの」

「ナル、ちゃんと拭かないとカビちゃうって。そこは乾拭き」

――ねぇ、ナル。

ナル。




「ナルってば!」


耳元でそう叫んだ麻衣の声に、思考の旅から現実へと引き戻された。
緩く首を振って耳の奥にわだかまる彼女の声音を追い出す。


「まるで僕の大安売りだ」


先ほど麻衣に引き摺られて買い出しに出掛けた。
そこで叩き売りされていた商品が販売員によってやたらと連呼されていたことを思い出し、不快感に顔をしかめる。


「ねぇナル。ちゃんと聞いてた?」


あからさまにむっとした表情の麻衣にそう問われ、深く息を吐く。

まだ読みかけの調査資料は今朝方一枚残らず彼女に取り上げられてしまった。
休日中に家で仕上げようと持ち帰った論文のバックアップも既に安原の手に渡っていると言う。
書斎には鍵が掛かっていて、中から本を持ち出すどころか休息に入ることすら叶わない。
その鍵ですら、家の中にはないのだとか。


――限界だ。


まだ湯気を立てている出来上がったばかりの夕飯を前に、椅子から立ち上がると斜向かいに座っている麻衣を見下ろした。


「もういい加減にしてくれ。僕は家政婦じゃない」


硬い声音でそう言うと、麻衣は大きな瞳を不思議そうに瞬かせる。
普段ならば気取られない程度に目元も緩むであろう。
そんな彼女の仕草にでさえ苛立ちを覚えるほど、ストレスはピークに達していた。


「なに言ってるの?」


心底分からないといった麻衣の表情に、握った拳に力を込めた。
何を言ってるも何も、そのままだろう。
鳥頭だけじゃなくとうとう耳まで悪くなったか?
そう口を突いて出そうになった言葉を、沈黙と共に飲み込む。


――自業自得でしょ?


麻衣の勝ち誇ったような声音が耳に蘇る。
それをかき消すように目を閉じると、彼女の暖かい指先が腕に触れた。


「ナルってば、鈍感すぎ」


困ったようなその声で麻衣が苦笑したのが分かった。
瞼を上げると、小さく首を傾けて悲しそうに笑う彼女と目が合う。


「そんな言い方されたら…ナルがまるであたしのこと、いつも家政婦だって思ってるみたいじゃない?」


そんなつもりで言ったんじゃない。
否定しようと口を開くが、麻衣が緩く首を振る。
分かってるからヘーキ、と、笑った彼女が普段よりも少し小さく見えた。


「あたし、ナルのこと家政婦だなんて思ってないし、そんなふうに扱ったりしてないよ?」


無理をして笑っている。
一目見ればそう分かるような儚い麻衣の微笑みに、まだ温もりが残る椅子ではなく、彼女の腕を強引に引き上げてリビングのソファへと腰を落とした。


「あたし、ナルと一緒に居たかっただけ」


その言葉に表情は動かさずとも小さく息を呑んだ。
冷静になって思い返せば、確かにそうなのかもしれない。
買い物も、掃除も、洗濯も、食事の支度も、全部二人でやったのだから。
麻衣がナルだけにやらせたことなど何一つとしてなかった。


「麻衣」


居心地悪そうに立ったままの彼女の身体を引き寄せる。
ソファに深く座り直すと膝の上に跨らせ、腕の中に閉じ込めた。


「悪かった」


肩口に顔を埋めるようにしてそう言うと、麻衣は驚きに目を見開く。
そうして小さく苦笑を零し、微動だにしないナルの髪をゆっくりと梳く。


「変なナル。ナルがオンナゴコロ、分からないのなんて、今に始まったことじゃないじゃん」


充分楽しかったからいーよ。
悪戯っぽく茶化してそう言う彼女に、思い切り顔をしかめた。


「僕は違う」
「うん、ごめんね」


ぼそりと呟くと麻衣は泣きそうに顔を歪めた。
でも麻衣は絶対に泣かないし、そんな表情をナルに見せることもない。
けれどナルは、不器用な麻衣が気取られないように時折そんな表情を隠していることを知っていた。
そしてまた麻衣も、不器用なナルが麻衣のそんな変化に気がついて心苦しく息を詰めるのを知っている。
ただ、口に出さないだけで。


「やり直すぞ」
「へ?何を?」


思い切ったように顔を上げると、琥珀色の瞳をきょとんと瞬かせた彼女が首を傾ぐ。


「全部」


短くそう言えば彼女は暫し思考の波を漂い、そしてぷっと小さく吹き出した。


「いやいや。ナルが完璧主義者だってのは嫌ってほど分かってるけどさ、誰もそこまで」
「麻衣」


目に涙を溜めるほどに笑いを堪えながら話す彼女の言葉をせき止める。
背中を丸めることで、膝に乗せてもなお少し下にある麻衣の目線に視線を合わせた。


「結婚記念日だろう。二人で祝うものだと僕に言ったのは誰だ?」


琥珀色の瞳を真っ直ぐに見詰めてそう言うと、麻衣は堪えていたはずの涙をぽろぽろと零して頷いた。





――――――――――――――――――――――




誰さこれ、って感じになっちゃいましたwww
うちのナルはただでさえナルであるのか怪しいのにまた更に遠い存在に…
といってもどういうナルなら本物なのかって言われても分からないし、私の中では主上のナルしかナルじゃないわけです。
どんな博士に出会っても残念ながらそれは全部偽物なのですね。


ただ限りなくそれに近づけることは可能なのだと思いますから、これからも頑張ります!
でも今回は書きたくて書きたくて…勢いで書いたものなので見逃してくださいませ><


後編へつづくのか!?
  1. 2010/08/01(日) 19:27:27|
  2. ナル×麻衣
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